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窯 4号機  

2004年2月
窯作りの計画を始める。いままで使用している窯が小さく感じ始めてから数年がたち、もはや窯焚き回数も素焼きまで含めたら年に、多い時で60回は軽く超え る時がある。展示会前には、週に5回本焼きをするという恐ろしい事もしてきた。このペースで数年焼いていたのだが、そろそろ本格的に大きめの窯の製作を考 える時でもある。現在、使用している窯も頻繁に焼いているので、大掛かりなメンテナンスも、すでに数回はしている。


現在の窯に効率性の悪さを感じたので、以前に作った時とほぼ同様の大きさの窯の製作の計画を立てる。ちなみに今の窯は、内寸約 0.18立法メートル程度の 自作の窯で、強風式のガスバナー1本を2つに分岐して熱分布をよくした横炎式の窯です。レンガは、LBK−26とLBK−28を組み合わせた方式で、バッ クアップ材には、カオウール1000を使用。レンガを縦張り(65mm)にしている為、温度の上がりも早いが、また下がり方も早い。1250度まで焼くの に、約10〜12時間程度掛かるが、私の使用している釉薬、粘土等の事を考えると、丁度良い時間だと思う。 これ以上早く上げると、釉薬に泡状のクレー ターが出来たり、温度ムラが大きくなり失敗した経験がある。

手ごろに小さい窯なので、急ぎの注文等にも応じられるし、陶芸教室で生徒の作品も直に焼くことに重宝してる。 だが、生徒数も増えて きて、焼く作品、又大 きな作品も増えて来たので、以前は、窯焚きの時、私の作品に生徒の作品を入れて焼く程度だったのが、そのうちに、私の作品と生徒の作品の比率が、約半々に なり、最近では、ほとんど生徒の作品に、私の作品がおまけ程度入る状態になってしまった。

焼く回数を増やせば良いのだが、かなり使い込んでる窯なので、今のペースだと、窯の寿命も短くなるし、冷め方が早いので、大きな作品 を焼くのに冷まし焼きをしたりと一方ならぬ労力がいる。
この事を踏まえて今回作る予定の窯は、まず現在使用している窯の倍程度の大きさで壁を厚くして、冷め方のスピードを遅くする事。そして、すでに持っている 材料等を出来るだけ使い、製作に経費を掛けない事、この3点に重点を置いて製作の計画を立てる。

窯設計図の完成。

2004年3月初旬

窯の設計にかなりの時間が掛かった。毎回そうであるが、(今回で4ヶ目)設計が窯の始めであり、また終わりでもある。設計さえしっかり とすれば、あ とはひたすら図面通りに作るだけ。半年程前から少しづつ計画を始めて、今回も設計図を10回位は書き直し、頭の痛い日々が続いた。

私は、いつも設計図に遊びを作ることと心がけている。私の言う遊びとは、後で多少変更出来るように余裕を持つと言う事です。今までの 経験から言わせてもら うと、窯には必ず計画通りにならない部分も出てくるし、窯を焼いてから分かる失敗も多くあります。作り上げてから大掛かりな修理するのは大変な労力がいる ので、わずかの隙間等を作る事によって、後に色々と修正しなければならない時に簡単に出来るようにすると言う事です。
 
例えるならば、部屋の一面にいくつものの家具を隙間を作らずにを置いたとしたら、模様替えする時には、家具を全部動かさなければならなくなるけど。隙間を 少し多く取っておけば、より少ない労力で家具の入れ替えをする事が出来ます。 窯作りに、これを当てはめるなら、炎の排出口の大きさを簡単に、後で大きく 取れるように作るとか、予備の覗き穴を作っておくとかです。

プロの業者が製作した窯には、やはり実績があり、遊びを作る必要性もない程完成度が高いけど、私は窯作りのプロでは無いので余裕のあ る(後に修正しやすい)窯を作る事に心がけている。これがないと、後で窯をもう一度作る位の手間が掛かる場合があります。

予定窯の概要・設計

有効炉内体積 0.43立方メートル
棚板 35 x 40 cmの前後2枚敷
直炎式(昇炎式)

強風式ガスバーナー 2本をそれぞれ2つに分岐して4つの火口にする事に決定した。 窯を作るのに始めるにあたってまず決める事は、棚板の寸法です。
これによって、作品の焼ける大きさが決まるからです。何故、私がこの棚板(35x40)の大きさにしたかと言うと、それは、この大きさの棚板を幾つも持っ ているから。(窯1号機にこの大きさの棚板を使用した。)もちろん大きい棚板の方が効率良く作品を詰める事が出来ますが、あまり大きな棚板は、棚板自体に 割れ防止のスリットが入って無いので割れやすくなり、また大きくなればなる程、棚板の値段はうなぎ登り高くなります。ある程度作る作品の寸法が安定してい るなら、大きめの棚板でも効率良く詰めれますが、作品サイズ(特に高さ)がバラバラで小物を中心的に作る方なら、この程度位の大きさの棚板の方が良いで しょう。

また、棚板自体は、耐火度は高いですが、急熱急冷には弱いので、窯焚きの時に、作品が割れるのを心配するよりも、棚板が割れないよう に、ゆっくりと温度を 上げなければならなくなります。電気窯みたいに温度管理がしやすいなら話は別ですが、やはりガス窯等は、部分的に温度の上がりが早いのでよほど直接的に棚 板の温度が上がらない設計の窯で無い限り、または温度管理にかなり気を使わないなら、大きめの棚板はお薦めしません。

本当は棚板を窯詰めしやすいように横に2枚敷にしたかったのですが、熱分布効率、窯設置場所等を考えて、前後に2枚敷にしました。幸 い前後左右にそれぞれ 2枚敷き(合計計4枚)の窯も、学生の時に焚いたので(15窯程あった)、それほど深く考えずに窯詰めする事が出来ます。大きく違うのは、上蓋式と横扉式 で、上蓋式の方がある程度の背の高さと腕の長さがあれば使いやすいと思います。ただ窯詰めの準備の仕方が違い、作品の詰め方に慣れるまでには、時間はかか ります。 昇炎式にしたのも、この形式の窯の方が、直接に炎が見えるので、酸化、還元の調整が簡単に行う事が出来るからです。 

倒炎式の方が良い窯だと言われる方が、数多くおられるのも事実ですが、両方焚いたことのある私としては、やっぱり昇炎式の方が調整が しやすいのも事実で す。そして同じ発熱量のバーナーを使った場合に炉内体積を少し多く取る事が出来ます。ただ、どちらの窯でも、無理な設計をすると上下の温度ムラが大きくな ります。(灯油窯については知りませんのでコメント出来ません。)

今回製作する窯には、炉内の大きさを多少変更できるように、高さを窯製作段階では18cm程低めに作ってあります。実際に日常食器程 度の大きさの作品を焼 くときには、底面にレンガを3段階敷いて焼き、温度ムラの少ない状態にし、大きめのオブジェなどを焼くときには、この積み重ねてあるレンガを取り除いて焼 くつもりです。もちろん、この炉底高さを、レンガを取り除いて高くしたときには、上下の温度ムラも大きくなるのですが、わたしの予定している焼き方では作 品にそれ程の影響は出ないと思います。(後に写真があります。)

また、横幅に関しては、40x35の棚板の2枚敷(前後に2枚)ですが、こちらもかなりの余裕を取ってあります。これも、大皿などが 焼けるように、 50x50cmの棚板が上部に入るようにしてあります。自作窯だからこそ、こんな事が出来るんです。ただし多少の燃料消費量が毎回増えるのは覚悟してま す。 ちなみに、窯1号機も昇炎式だったのですが、この窯を作る時に、某窯設計事務所に設計図を持って相談した事がありますが、どの事務所でも絶対に焚けないと お墨付きをもらいました。

この設計図を元に作ったのが窯1号機ですが、何の問題も無く1,300度まで焚けましたけど.....。(1号機は移転したときに、 取り崩しました。)

その時は、何故そんな無責任な事を言ったのかと怒りまくってましたが、今考えると窯屋さんの窯の成功と私の窯の成功に違いがあるので はないかと思います。 当時、この窯で1,300度まで焼くのに最低18時間はかかってました。私にとっては、当たり前の焼成時間でも、窯の設計士に言わせたら、大きさにしては 時間が掛かり過ぎる(失敗)の窯かもしれない。また、私にとって上下30度前後の温度差は、釉薬の種類と作品の組み合わせで調整しますが、それが設計に携 わる方にとっては、許容範囲にならないのかもしれないと、今では考えています。なかなか設計される方の中に陶芸をされている人が少ないので、話がかみ合わ ない時が多々あります。

ちょっと余談になりますが、昇炎式の窯の為に言わせてもらうと、よく陶芸雑誌などに、昇炎式の窯は温度が上がら ずに、ムラが多く....とさんざ んに、けなされている記事を良く見かけますが、私の経験では、それ程ひどくはありません。記事を書いている方の何人の方が、実際にこの昇炎式の窯を焚いた 事があるか分かりませんが、これだけ日本に昇炎式の窯が普及していない事を考えると、ごくわずかではないでしょうか?
昇炎式の窯の方が倒炎式より熱効率が悪いと書いてますが、実際に同じ大きさの窯の違う種類の燃料消費量を比べたデータが一回も見た事ない事を考えたら、比 較した人は、ほとんど皆無どと思います。

また例え同じ倒炎式の窯でも、焼く人が変われば、焼成時間と消費燃料に違いが出てきます。
同じ内容体積の2種類の違う窯を作ってみると一目瞭然に結果がでるのですが...。
ただ、昇炎式の窯を倒炎式と同じデザインにしたら、もちろんうまく焚けませんし、同じく逆にしても温度ムラが高くなります。それぞれに、窯の設計の仕方も 違うし、窯焚きでの調整の仕方も変わります。
これだけ昇炎式の窯の為に弁護するのは、世界中にある産業国の窯の半数近くは、昇炎式の窯なんですよ。レンガの質、バーナーの性能が高くなったので、固定 観念を捨てないと、よほど無理な設計をしない限り、焚けない窯は少なくなりました。



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