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この窯を作るきっかけになったのは、七輪窯が紹介されていた頃でした。 (1997年頃)
珪藻土で出来ているので高温での耐久性がないみたいですが、私の場合は七輪よりも大きい30cm四方の軽量耐火煉瓦を使った自作のBBQコンロを以前に
作ってました。(この時は、ただ単純にバーベキューを楽しみたいのと、レンガが余っていたからです。)
当初は、この窯(BBQコンロ)に炭を入れてドライヤーで空気を入れて加熱して作品などを焼いてみました。(一応、対火度1300℃)
なかなか炭を使った焼成での作品に味わいを感じていた頃に「焼き物をつくるダレでもできる自主陶芸」 という本を書店で見て購入しました。
芳村 俊一 著の「焼き物をつくるダレでもできる自主陶芸」
(共同印刷株式会社、1997 ISBN4-575-28763-6 C0076)
本に紹介されている窯の作り方と違い、炭や薪をどうやって窯へ入れるのか、そして燃焼室の大きさがどの位必要なのかが大きな課題でし
た。いろいろな焼き方を想定してみると、
(1)薪だけで温度を上げる
(2)炭だけで温度を上げる
(3)灯油バーナーを使って温度を上げる
と3つの焼き方で出来るように欲張りました。
何と言ってもドラム缶は小さい。これにレンガを積むと更に内容量が小さくなるので、出来るだけ作品を多く入れる為に燃焼室を最低限の
大きさにする事に決定。
こ の点から考えて、薪・炭の投入口と灯油バーナーを使った2次空気の取り入れ口の2つが要る事が分かりました。
電動グラインダーを使って開け口をカットしてから、レンガを置いてみる。
オリジナルと違い、窯の内部にカオウールブランケット(8p、25mm厚)を入れてみました。
ブランケットは、ただ内側に置いただけで、あとはレンガで固定してあるだけです。
レンガとレンガの間を アサヒキャスターを使って、埋めていきます。通常のキャスターの硬さで使用すると、レンガが水分を吸い込んで急激に乾燥するので、少
し水を多く使いました。
レンガを湿らしたり、レンガに防水スプレーしてみたりと、色々とためしてみましたが、どちらでも大丈夫でした。
こ こで、ドラム缶窯に 取手を付ける事にした。
まだ半分しかレンガを積んいないのに、あまりの重さで、
2人でも動かせない。
すでに、レンガは固定されているので、今さら取り除くわけにも行かず、
写真のように、片方に取手を2ヶ付けて、中に木材を入れて合計4人で動かせるようにする。
後でとても役に立ちました。
窯の蓋部分の製作。
まず木枠を作り、その中にステンレスメッシュと取手を太めのステンレスの針金でつなぎ補強。そしてこのステンレスの部分が高さの真ん中当たりになるように
針金で高くする。 中心にある黄土色の物体は、粘土です。煙突の大きさに合うように約120mmにロクロで作りました。
準備ができたら、後は、この枠にキャスターを流し込んで蓋の出来上がりです。
耐火 煉瓦SK34 | 約50ヶ 安価な耐火煉瓦は、通常使用には問題ないが、 灰に寄る侵食が早い場合があるので、JIS規格 の物がお薦めです。 |
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キャス ター | 1,300度用 3袋 | |
棚板 | カー ボランダム製 直径30cmを3段から 4段で使用 |
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こ の窯での初窯は6年程前になりますが、今思い出しても大変でした。
最初は、薪だけで焼こうとしましたが、まだレンガが焼けていない状態だったので、なかなか温度が上がらず、ほとんど灯油バーナーで1250度まで上げてい
ました。
少し、手ごたえを感じ始めたのが4回目の焼成です。ようやくレンガが焼けて、少し順調に温度が上がりましたが、それでも約14時間か
けてました。
ちょっと、この窯は失敗だったかな? と半ばあきらめてました。
その当時は、ホームセンターで買った薪と炭を使っていましたが、いろいろと試してみて薪と炭の質を変えてみたら、びっくりするくらいに順調に温度上昇する
ようになりました。
現在では、少し芯のある杉の薪とオガ炭という加工炭を使って焼成してます。
6年間の経験としては(窯焚き回数 50回前後)、レンガが完全に焼けて来るまでに8回位かかる。その後は、焼成するのに時間が少な
くなり、現在は平均すると約10時間位で1,250度まで到達します。
8:00 | am | 灯油バーナー点火 | |
12:00 | pm | 800〜900℃前後 還元が必要な時はこの時に少し掛ける。 |
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1:00 | pm | 950℃ 蒔き入れ開始 灯油バーナーは遮断して送風機として使用。 |
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1:30 | pm | 薪と炭の両方で焼成 | |
3:00 | pm | 1,150℃前後--ここまでの温度上昇が早いと 後半に温度がなかなかあがらない事もある。 |
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5:00 | pm | 1,250℃ | |
6:30 | pm | 練らし終了 |
平 均して一回の焼成に使用する燃料は、
薪 3〜5束
炭 (オガ炭) 2〜3袋
灯油 22リットル になります。
炭を多く使い、900℃から殆ど炭だけで最後まで焼く時もあれば、灰被りの作品にする為に薪だけの場合もあります。
還元を多く掛けた場合が当然より多くの燃料を使いますね。
そして、何よりも焼成時間が短いので、いろいろな焼き方に挑戦出来る。1週間に3度焼いた事もあります。
薪窯の勉強に非常に優れているのではないでしょうか?
大きな窯になると、最初の窯焚きから焚き終わりまで数十時間掛かるので、なかなか最初から最後までの薪の入れ方の違い等を覚えるのに
時間が掛かりますが、この窯なら数時間ですみます。 多く焚いて多くの経験を積むことが出来ます。
現にこの窯は、私が作品を焼くよりも陶芸教室の生徒への貸し出し用になりましたが、数回焼けばコツが分かりますので、殆ど生徒まかせ
で焼かせてます。
直炎式の窯ですので炎の当たり方が、横炎式の窯と違う面白さがある。
逆に、困っているのが、窯が小さいため、そして焚き口の穴が小さい為に、薪を馬鹿みたいにかなり小さく割らなければいけません。そし
て、やはり窯が小さい事です。慣れて、それなりに欲が出ると大きな作品が入れたくなります。