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2013.6月 移転オープンしました。



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ド ラム缶窯

窯の概要

この窯を作るきっかけになったのは、七輪窯が紹介されていた頃でした。 (1997年頃)
珪藻土で出来ているので高温での耐久性がないみたいですが、私の場合は七輪よりも大きい30cm四方の軽量耐火煉瓦を使った自作のBBQコンロを以前に 作ってました。(この時は、ただ単純にバーベキューを楽しみたいのと、レンガが余っていたからです。)
当初は、この窯(BBQコンロ)に炭を入れてドライヤーで空気を入れて加熱して作品などを焼いてみました。(一応、対火度1300℃)

なかなか炭を使った焼成での作品に味わいを感じていた頃に「焼き物をつくるダレでもできる自主陶芸」 という本を書店で見て購入しました。

芳村 俊一 著の「焼き物をつくるダレでもできる自主陶芸」
(共同印刷株式会社、1997  ISBN4-575-28763-6 C0076) 

この本の36ページに紹介されているドラム缶を外枠に使った窯の作り方を見た時に、この窯に薪・炭で焚く事を取り入れてみたいと思 い、その後、実際に窯を作る前にいくつかの実験をしました。
私の作ったドラム缶窯の基本的な構造は、本に紹介されているドラム缶の窯と全く同じですが、窯の使用目的が薪と炭で焼ける窯にする事 でした。

窯の製作

本に紹介されている窯の作り方と違い、炭や薪をどうやって窯へ入れるのか、そして燃焼室の大きさがどの位必要なのかが大きな課題でし た。いろいろな焼き方を想定してみると、

(1)薪だけで温度を上げる 
(2)炭だけで温度を上げる
(3)灯油バーナーを使って温度を上げる 

と3つの焼き方で出来るように欲張りました。

何と言ってもドラム缶は小さい。これにレンガを積むと更に内容量が小さくなるので、出来るだけ作品を多く入れる為に燃焼室を最低限の 大きさにする事に決定。

ドラム缶窯 開け口

こ の点から考えて、薪・炭の投入口と灯油バーナーを使った2次空気の取り入れ口の2つが要る事が分かりました。




レンガ積み開始前 
電動グラインダーを使って開け口をカットしてから、レンガを置いてみる。
オリジナルと違い、窯の内部にカオウールブランケット(8p、25mm厚)を入れてみました。
ブランケットは、ただ内側に置いただけで、あとはレンガで固定してあるだけです。

ドラム缶窯 製作途中写真
レンガとレンガの間を アサヒキャスターを使って、埋めていきます。通常のキャスターの硬さで使用すると、レンガが水分を吸い込んで急激に乾燥するので、少 し水を多く使いました。
レンガを湿らしたり、レンガに防水スプレーしてみたりと、色々とためしてみましたが、どちらでも大丈夫でした。


ドラム缶窯 取手
こ こで、ドラム缶窯に 取手を付ける事にした。
まだ半分しかレンガを積んいないのに、あまりの重さで、
2人でも動かせない。
すでに、レンガは固定されているので、今さら取り除くわけにも行かず、
写真のように、片方に取手を2ヶ付けて、中に木材を入れて合計4人で動かせるようにする。
後でとても役に立ちました。


ドラム缶窯 レンガ積み終了



レ ンガ積みは非常に簡 単です。確か2日もかからなかったと思います。 (レンガが一段づつ、ずれています。)






ドラム缶窯 ロストル部



燃 焼室に(薪投入口)に置くためにロストルの最作。
耐火煉瓦で加工しましたが、I型支柱でも可。








ドラム缶窯 上蓋部分写真
窯の蓋部分の製作。
まず木枠を作り、その中にステンレスメッシュと取手を太めのステンレスの針金でつなぎ補強。そしてこのステンレスの部分が高さの真ん中当たりになるように 針金で高くする。 中心にある黄土色の物体は、粘土です。煙突の大きさに合うように約120mmにロクロで作りました。


準備ができたら、後は、この枠にキャスターを流し込んで蓋の出来上がりです。


使用した窯部材

耐火 煉瓦SK34    約50ヶ
安価な耐火煉瓦は、通常使用には問題ないが、
灰に寄る侵食が早い場合があるので、JIS規格
の物がお薦めです。
キャス ター 1,300度用 3袋
棚板 カー ボランダム製 直径30cmを3段から
4段で使用

焼 成編

ドラム缶窯焼成

こ の窯での初窯は6年程前になりますが、今思い出しても大変でした。
最初は、薪だけで焼こうとしましたが、まだレンガが焼けていない状態だったので、なかなか温度が上がらず、ほとんど灯油バーナーで1250度まで上げてい ました。

少し、手ごたえを感じ始めたのが4回目の焼成です。ようやくレンガが焼けて、少し順調に温度が上がりましたが、それでも約14時間か けてました。

ちょっと、この窯は失敗だったかな? と半ばあきらめてました。
その当時は、ホームセンターで買った薪と炭を使っていましたが、いろいろと試してみて薪と炭の質を変えてみたら、びっくりするくらいに順調に温度上昇する ようになりました。
現在では、少し芯のある杉の薪とオガ炭という加工炭を使って焼成してます。

6年間の経験としては(窯焚き回数 50回前後)、レンガが完全に焼けて来るまでに8回位かかる。その後は、焼成するのに時間が少な くなり、現在は平均すると約10時間位で1,250度まで到達します。

窯焚きの平均 スケジュール
8:00 am      灯油バーナー点火
12:00 pm 800〜900℃前後
還元が必要な時はこの時に少し掛ける。
1:00  pm 950℃  蒔き入れ開始
灯油バーナーは遮断して送風機として使用。
1:30 pm 薪と炭の両方で焼成
3:00  pm 1,150℃前後--ここまでの温度上昇が早いと
後半に温度がなかなかあがらない事もある。
5:00  pm 1,250℃
6:30 pm 練らし終了



平 均して一回の焼成に使用する燃料は、

  薪       3〜5束
  炭 (オガ炭) 2〜3袋
  灯油      22リットル   になります。

炭を多く使い、900℃から殆ど炭だけで最後まで焼く時もあれば、灰被りの作品にする為に薪だけの場合もあります。
還元を多く掛けた場合が当然より多くの燃料を使いますね。

ドラム缶窯の利点


本当に内容量の小さい窯です。良く考えて作品を作らないと数個しか窯に入りません。
この窯を作ってみて、そして焼いてみて良かった点は、燃焼室と作品との間が近いため火の当たりが強く作品に現れます。薪窯でいう捨間、秘密口に近い状態で 焼けます。 ただし直炎式ですので、上に行くほど火の当たりが弱くなり、温度も少し低くなります。

そして、何よりも焼成時間が短いので、いろいろな焼き方に挑戦出来る。1週間に3度焼いた事もあります。
薪窯の勉強に非常に優れているのではないでしょうか? 

大きな窯になると、最初の窯焚きから焚き終わりまで数十時間掛かるので、なかなか最初から最後までの薪の入れ方の違い等を覚えるのに 時間が掛かりますが、この窯なら数時間ですみます。 多く焚いて多くの経験を積むことが出来ます。

現にこの窯は、私が作品を焼くよりも陶芸教室の生徒への貸し出し用になりましたが、数回焼けばコツが分かりますので、殆ど生徒まかせ で焼かせてます。

直炎式の窯ですので炎の当たり方が、横炎式の窯と違う面白さがある。

逆に、困っているのが、窯が小さいため、そして焚き口の穴が小さい為に、薪を馬鹿みたいにかなり小さく割らなければいけません。そし て、やはり窯が小さい事です。慣れて、それなりに欲が出ると大きな作品が入れたくなります。

メンテナンス

長いこと使っているとやはりメンテナンスをしなければならない。
燃焼室が小さいため、そして灯油バーナーを送風機の代わりとして使用しているために、灰・炭の燃え残りが結構出ます。これが窯の底面部に溶けてスラッグ状 (ガラスの塊みたいに)に固まるので、年に1回ほど(焼成回数約10回)は、しっかりと取り除かければならない。

窯が外に設置してある為(屋根・囲いはしてある)、ドラム缶に耐火ペイントを塗ってあるが、かなりサビが発生する。サビを取り除き、 耐火ペイントを塗ってはいるが、ドラム缶の鉄板は非常に薄いので、あとどれ位持ちこたえる事が出来るかは不明。

煙突(廃熱・廃煙の為)を最初は、ステンレス製を使用していましたが、数回で穴が開きます。スレート製も試してみましたが、全く同じ でしたので後に耐火キャスターで手作りしました。

注意事項

もし、この窯を作って見たいという方の為に、今までの経験を書かせて頂きます。

薪を使用した場合は、かなりの煙が出ます。
炭のみでの焼成でしたら、バーベキューでもしているような匂いだけですが、かなり炎がでますので、防火地域にお住まいの方はやめた方が良いでしょう。

1,250度位の温度になると、窯の外側もかなりの温度になります。やはりレンガが薄い分だけ放熱カロリーが高いので、可燃物などに は、注意して下さい。
使用する炭等によっては、窯の中に入れた時に、炭がはじけて跳ね返る事がありますので、やけどには、よ〜く注意して下さい。  (2005.8.18作 成)

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